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ライフハック、飛蚊症

プロ棋士は映像世界の住人

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脳のタイプを理系脳、文系脳と分けて考えるのはあまりにも雑すぎるけれども、切り口としては分かりやすいから、例として採用する。

加藤一二三先生は、将棋指しに文系が多いことを明言している。

棋士で唯一の東大卒である片上先生は、法学部出身であるし、糸谷先生は大阪大学で哲学を学んでいる。

同世代の中村太地先生も早稲田の政治経済卒で、在学時に同大学のスカラシップを取得するほど優秀な成績で卒業している。

なぜ、理系ではなく文系が多いのだろうか。

大学入試においては、理系と文系では数学の難易度が違い、天才肌の人物でも理系数学で合格点を取るには、十分な勉強時間が必要である。

大学卒のプロ棋士が少数であるのは、プロを目指す学生の多くが、大学受験の勉強時間を削ってプロの登竜門である奨励会で勝ち抜くために、死に物狂いで将棋の勉強をするためである。

そのため、受験勉強の負担が比較的軽い、文系の学部へ合格していくと考えられる。

だから、大卒のプロ棋士というのは、幼い頃から飛び抜けた才能を持った人物が多く、片手間の受験勉強で有名大学に合格する天才中の天才である。

ただし、受験勉強の難易度とは別に、本質的に将棋の強さは、数字に強いこととは関係なく、文系、理系の枠組みでは評価できない才能に起因すると考えられる。

将棋の強さの最大の要因は

 

映像記憶を動かしていくことに喜びを感じる力

 

である。

 

ここでは、便宜的に脳内に浮かべる将棋盤のことを映像記憶と呼ぶことにする。

棋士によっては、この映像記憶に色がついている人もおり、ほとんどのプロ棋士は、モノクロやカラーのイメージが頭に浮かんでいる。

プロ棋士は、この脳内将棋盤を動かすことで、自分の指し手を決めていく。

ここで重要なのは、映像記憶を動かすことに喜びを感じることができるかどうかである。

地頭が良い人には、脳内にはっきりとした将棋盤を浮かべることができる人が多い。

しかしながら、脳内の駒を動かして、その世界に浸り切ることができる人物は少数である。

連続する映像記憶の世界の住人が将棋指しでなのである。

このことが理解できると、野球や武道などの『静と動の移り変わり』を楽しむ競技よりも、サッカーや競馬といった『動の連続』であるものが好きなプロ棋士が多いことのヒントとなる。

タイトル戦などの対局がある日には、朝起きた瞬間から映像世界に入り、自分の手札がなくなるまで現実世界には戻らない。

羽生先生が勝ちを見つけた瞬間の震えは、映像記憶の住人として苦闘し、勝利を見つけ現実世界に戻ってきたことで生じる武者震いなのだ。