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ライフハック、飛蚊症

藤井7段のすごさ

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藤井聡太7段がプロデビューする前の将棋界は、過去にないくらい閉塞感が漂っていた。

 

コンピュータと人間との対戦では、名棋士が負けまくり、結果的に名人さえもコンピュータの計算量の前に圧敗した。

 

三浦9段のソフト不正疑惑の一連のニュースも、公益法人としての将棋連盟としての対応がお粗末過ぎて、連盟の会長はじめ多くが役職を外れることとなった。

 

コンピュータを使った序盤の研究が盛んになり、解説においても対局の形勢判断や指し手の判断をコンピュータに求める棋士も多くなった。

 

プロ棋士の存在意義が問われるようになり、将棋ファンはコンピュータの指し手に一喜一憂し、プロの指し手とコンピュータの指し手を冷静に比較して観戦するようになった。

将棋の対局を見ることは、駆け引きやはったりなどの勝負術への関心から、コンピュータとの指し手がどの程度一致するかへと興味の対象が変わっていった。

人間の機微よりも一直線に勝てる正確な指し手でねじり伏せるコンピュータの強さに惚れ込んでいったのだ。

 

そのような状況の中、藤井聡太4段が誕生した。

今となれば、将棋界にとって神のような救世主となっている。

対局の姿勢やマナー、インタビューの受け答えが好印象で、それでいて将棋が信じられないくらい強い。

29連勝を成し遂げたのをきっかけに、メディアに多く取り上げられるようになり、世の親は子供を将棋教室に通わせるようになった。

羽生さんとの対局では、会場を数千人もの人で満杯にした。

藤井7段という太陽により将棋界が照らされ、これまで脚光を浴びなかった棋士にも注目が集まった。

弱い棋士でも藤井7段の対戦相手となれば、一生縁がなかったであろう将棋ファン以外にも認知されるきっかけとなった。

将棋ファン以外にも注目されている棋士といえば、橋本崇載8段だ。

奇抜なファッションや個人でバーを経営するなど個性的でありながら、将棋がかなり強い人だ。

 

しかし、橋本8段は冒頭で述べた三浦9段の不正疑惑について、かなり踏み込んだ発信をしたため、直接三浦9段に謝罪する結果となっている。

 

将棋界の陽のキャラクターが、露出を控えるようになり、潜在的な将棋ファンがかなり減っていたと考えられる。

 

そのような状況の中、藤井7段はソフトでも読んでいない指し手で中盤を制し、終盤をソフトとの驚異的な一致率で指し手を重ねていった。

 

その結果、若手が奮起し主に20代全体の勝率を爆発的に上がった。

 

プロになりたての高校生が、若手の将棋界全体の実力を底上げしていったのである。

 

羽生さんは、過去周りの実力を底上げし、今なお将棋界を引っ張り続けている天才だ。

この天才の抜きん出た実力に引っ張られるように、同年代は実力をつけていき、羽生に代表される羽生世代と呼ばれる世代を作りあげた。

 

本物の才能は、周りの能力を引き出し新たな価値観を打ち出していくことができる。

そして藤井7段は、幼少の頃から強いソフトとともに育った最初の世代であり、これまでとは全く異なる将棋の価値観を持っている。

 

藤井7段の指し手だけではなく、将棋に対する価値観にも注目すべきだ。

若さのせいか、自己主張する機会はまだない。

彼の何にも遠慮しない最初の言葉は、タイトル戦を取った後にでも聞けるだろうか。